貧血予防
「貧血予防の三種の神器」を意識しよう!

貧血を予防するには何を食べたらいいの?
|対象| 階級制、小学6年女子 新体操

アスリートの中には、「貧血気味なので鉄のサプリメントをとっています」という選手をみかけます。以前、筆者が新体操のジュニア選手の栄養サポートをおこなった際にも、ウエイトコントロールを意識するあまり、欠食や極端に食事量を減らしながら鉄のサプリメントを摂っている選手がいました。 確かに、いくつかある貧血の種類の中で、最も多いのは「鉄欠乏性貧血」です。しかし、鉄の摂取量を増やすだけでは貧血予防として万全とはいえません。
そもそも貧血とは、体内で酸素運搬役を務める「ヘモグロビン(血色素)」の量が少なくなった状態をいいます。 ヘモグロビンは、鉄を含む「ヘム」という物質と、「グロビン」というたんぱく質が結合してできているため、鉄だけ大量に摂ってもたんぱく質が不足していては「ヘモグロビン」をつくることはできないのです。 したがって、鉄に加え、たんぱく質が豊富な食材を積極的に摂ることが大切です。
さらに、鉄にはレバーや牛もも肉、あさり、しじみ、かつお、いわしなどに含まれる「ヘム鉄」と、ほうれん草や小松菜、大豆製品、卵などに含まれる「非ヘム鉄」があり、後者は体内への吸収率が低いため、一緒に飲食するものを工夫する必要があります。 具体的には、お肉や魚に含まれる「動物性たんぱく質」と、イモ類、青菜類、柑橘類やいちごに豊富な「ビタミンC」を一緒に摂ると鉄の吸収促進につながります。 一方、鉄の吸収を阻害する成分には「食物繊維」や、お茶やワインに含まれる「タンニン」が挙げられます。
その他にも、ヘモグロビンは赤血球の中に存在するため、赤血球の生成に必要なビタミンB12や葉酸も意識して摂るとよいでしょう。 ビタミンB12は牡蠣などの魚介類やレバー等に、葉酸はブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜やいちご、枝豆、レバーなどに豊富に含まれています。
上記を踏まえ、筆者がジュニア選手やアスリートに常々伝えているのが、「貧血予防の三種の神器=鉄・たんぱく質・ビタミンCをセットで摂ろう!」というメッセージです。 料理メニューにすると、レバニラ炒め(レバー…鉄・たんぱく質、ニラともやし…ビタミンC)やチンジャオロース(牛もも肉…鉄・たんぱく質、ピーマン…ビタミンC)、カツオのカルパッチョ(カツオ…鉄・たんぱく質、レモン・カイワレ大根…ビタミンC)などが挙げられます。 もちろん、献立トータルで「貧血予防の三種の神器」が摂れる形でも問題ありません。例えば、主食のごはん、主菜のアジの干物(たんぱく質)、副菜のほうれん草のお浸し(鉄、ビタミンC)、あさりの味噌汁(鉄、たんぱく質)、果物のグレープフルーツ(ビタミンC)、乳製品のヨーグルト(たんぱく質)といった具合です。
新体操のような審美系競技や、長距離走などの持久系種目では減量中の選手をよくみかけます。 極端な食事制限により減量できたとしても、貧血になってしまっては競技力向上はもとより、通常の生活にも影響がでかねません。 前述のポイントを押さえ、上手な食事術で貧血を予防して競技力向上を目指しましょう。