カラダを大きくしたいが、どんな風に食べるとよいの?
対象 階級制競技、中学1年男子 柔道
カラダを大きくする、つまり増量したい場合には、エネルギー消費量よりもエネルギー摂取量を増やす必要があります。 その際、一度に食べる量を増やすことには限界があるため、一食あたりのボリューム増よりも、食べるものの内容(栄養価)を見直すことと、食事の回数を増やすことを意識するとよいでしょう。
さらに、ジュニア年代(小・中学生、高校生)は、急速な成長がみられる時期であるため、成長する分(エネルギー蓄積量)も加味した上で栄養補給をおこなうことが大切です。 ただ、成長の速度(成熟度)には早熟・晩熟などの個人差がみられる為、同級生の体格や食事量と比較するのではなく、成長曲線(人間の身体的発達の程度を表した曲線)を参考にして、自身の身長の伸びと体重増加のバランスをみて、活動量や食事量を調整するとよいでしょう。
では、具体的に、食べるもの(内容)の見直しのコツをご紹介しましょう。表1をご覧ください。 平均的な体格の中学1年生(13歳)男子柔道選手の食事内容を左側に示しました。 目安となる食事摂取基準の(推定エネルギー必要量)2,900kcalと、同程度のエネルギー量2,822kcalが摂れているのは良い点です。
一方、たんぱく質は筋肉や骨、血液などの構成素材でもある為、成長期のジュニア選手にとっては非常に重要な栄養素です。 しかし、エネルギー量に対するたんぱく質の割合(たんぱく質%エネルギー)をみると、基準となる13~20%とはかけ離れた6.8%となっています。 さらに、成長期のサッカー選手と陸上短距離選手を対象とした研究によれば、小児の成長速度の個人差に関わらず、体重1kgあたり1.35~1.60g/kg/日のたんぱく質を摂取することで、正の出納バランスが確認されたことが報告されています(50kgのジュニア選手であれば67.5g~80gに相当)。 これらのことからも、左側の食べ方ではたんぱく質の摂取量が少ないといえます。具体的な対応策を右側の表に示しました。 食事のボリュームとエネルギー量は殆ど変化させずに、メニューを少しだけアレンジすることでたんぱく質の摂取量を増やしていますので、参考にしてみてください。
続いて、食事の回数を増やす方法についてです。 1日3回の食事で、身長の伸びに対して体重の増加が芳しくない場合には、睡眠や練習などの生活時間の見直しに加え、補食をとってみるのも一案です。 食べ易いタイミングに、たんぱく質やビタミン、ミネラルなど成長期に必要な栄養素が補えるものを摂るとよいでしょう。
今回ご紹介するレシピは、「あじフライのアマニタルタルソース添え」です。 このレシピには、あじと卵の2種類のたんぱく質豊富な食材が使われています。 さらに、献立全体で考えると、筑前煮の鶏肉、スープの厚揚げ、果実酢ミルクの牛乳と、バラエティに富んだ食品群からたんぱく質が摂れます。 例えば、たんぱく質の供給源としてお肉ばかりを食べると、脂肪酸組成(脂質)も飽和脂肪酸に偏ってしまいます。 したがって、多種多様な食品からたんぱく質を摂取することで、結果的に、他の栄養素もバランスよくとりやすくなるといえるでしょう。
最近では、ジュニア向けのプロテイン等も販売されていますが、食習慣の形成期でもあるジュニア選手の場合には、安易にサプリメントばかりを頼るのではなく、ときには生活スタイル全体を見直してみるのもよいのではないでしょうか。
表1_1日の食事比較(中学一年生男子:体重50kg)
食事摂取基準(身体活動レベルⅢ2,900kcal/日)メニュー名 | エネルギー (kcal) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
|
朝食 | ジャムトースト 1枚 | 212 | 5.7 | 2.7 | 41.3 |
コールスローサラダ | 77 | 1.0 | 6.2 | 4.7 | |
オレンジジュース 200ml |
87 | 0.0 | 0.0 | 22.0 | |
昼食 | トマトソーススパゲティ | 419 | 11.9 | 8.0 | 71.9 |
ポテトサラダ | 195 | 2.3 | 11.4 | 21.1 | |
りんご 1/2個 | 81 | 0.3 | 0.2 | 22.5 | |
市販ミルクティー 500ml |
185 | 2.5 | 2.5 | 39.0 | |
夕食 | ご飯 | 745 | 14.1 | 37.1 | 84.1 |
肉野菜炒め | |||||
中華スープ | |||||
搾菜 | |||||
クリームコロッケ | 292 | 5.1 | 21.4 | 18.3 | |
フルーツゼリー 大1個 | 154 | 0.5 | 0.1 | 37.6 | |
補食 | 梅おにぎり 1個 | 164 | 3.2 | 0.4 | 36.3 |
バナナ 1本 | 86 | 1.1 | 0.2 | 23.0 | |
スポーツドリンク 500ml |
125 | 0.0 | 0.0 | 31.0 | |
朝食 | 376 | 6.7 | 8.9 | 68.0 | |
昼食 | 880 | 17.0 | 22.1 | 154.5 | |
夕食 | 1,191 | 19.7 | 58.6 | 140.0 | |
補食 | 375 | 4.3 | 0.6 | 90.3 | |
1日合計 | 2,822 | 47.7 | 90.2 | 452.8 | |
各栄養素の エネルギー比率 |
6.8% | 28.8% | 64.4% | ||
12~14歳男子の 食事摂取基準 身体活動レベルⅢ (%エネルギー) |
2,900 | たんぱく質 13〜20% |
脂質 20〜30% |
炭水化物 50〜60% |


メニュー名 | エネルギー (kcal) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
|
朝食 | チーズトースト 1枚 | 240 | 11.0 | 8.9 | 28.4 |
かぼちゃツナサラダ | 200 | 6.9 | 12.6 | 15.1 | |
オレンジジュース 200ml |
87 | 0.0 | 0.0 | 22.0 | |
昼食 | ミートソーススパゲティ | 637 | 23.9 | 22.7 | 73.1 |
豆腐サラダ | 112 | 8.3 | 6.7 | 4.5 | |
りんご 1/2個 | 81 | 0.3 | 0.2 | 22.5 | |
ヨーグルトドリンク 200ml |
131 | 5.7 | 1.7 | 23.2 | |
夕食 | ご飯 | 745 | 14.1 | 37.1 | 84.1 |
肉野菜炒め | |||||
中華スープ | |||||
搾菜 | |||||
海老焼売 | 179 | 16.1 | 3.6 | 20.2 | |
いちごヨーグルト 1個 | 110 | 4.8 | 2.3 | 17.5 | |
補食 | おかかおにぎり 1個 | 175 | 4.5 | 0.4 | 37.2 |
バナナ 1本 | 86 | 1.1 | 0.2 | 23.0 | |
スポーツドリンク 500ml |
125 | 0.0 | 0.0 | 31.0 | |
朝食 | 527 | 17.9 | 21.5 | 65.5 | |
昼食 | 961 | 38.2 | 31.3 | 123.3 | |
夕食 | 1,034 | 35.0 | 43.0 | 121.8 | |
補食 | 386 | 5.6 | 0.6 | 91.2 | |
1日合計 | 2,908 | 96.7 | 96.4 | 401.8 | |
各栄養素の エネルギー比率 |
13.3% | 29.8% | 56.9% | ||
12~14歳男子の 食事摂取基準 身体活動レベルⅢ (%エネルギー) |
2,900 | たんぱく質 13〜20% |
脂質 20〜30% |
炭水化物 50〜60% |
出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
出典:女子栄養大学出版部 毎日の食事のカロリーガイド 第3版(2018)
主食
ご飯
主菜
あじフライのアマニタルタルソース添え:
- 材料 ( 分量:2人分 )
-
- ・あじ 4尾
- ∟ 塩・こしょう 少々
- ・小麦粉 適量
- ・溶き卵 1個
- ・パン粉 適量
- ・揚げ油 適量
- B
- ゆで卵 1個
- 玉ねぎ 1/4個
- ピクルス 20g
- ローストアマニ粒 大さじ1
- アマニ入りマヨネーズ 大さじ3
- 塩・こしょう 少々
- ・キャベツ 150g
- ・トマト 1/2個
- ・レモン 2/8切
- 作り方
-
❶Bのゆで卵、玉ねぎ、ピクルスはみじん切りにして、ローストアマニ粒、アマニ入りマヨネーズ、塩・こしょうを加えてよく混ぜ、アマニ入りタルタルソースを作っておく。
キャベツは千切りに、トマトとレモンはくし切りにする。
❷あじはウロコとゼイゴを取り、頭を切り落として内臓をかき出して水で洗い、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る。背側に包丁を入れて中骨に沿って開き(背開き)、尾を残して中骨を取り除く。
※あじフライ用に背開きしたものを注文することも可能です。
❸❷のあじに塩・こしょうを振り、小麦粉を薄くつけ、溶き卵、パン粉の順で衣をつけ、170~180度の油できつね色になるまで揚げる。
❹器に❶の野菜と❸のあじフライを盛付け、レモンとアマニ入りタルタルソースを添える。

副菜1
筑前煮
副菜2
もずくともやしと厚揚げのスープ
果物
りんご
乳製品
果実酢ミルク
(株)しょくスポーツ 代表取締役
こばたてるみ
公認スポーツ栄養士、管理栄養士、健康運動指導士