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スポーツジュニアの栄養サポート

水分補給


タイミングに応じた水分補給(運動前・中・後の水分補給)

暑い夏がやってきます。熱中症(熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病などの障害の総称)を防ぐためには、適切な水分補給が欠かせません。今回は運動前・中・後に分けて水分補給のポイントをご紹介します。

【運動前】
運動中の水分補給は定着しましたが、運動前の水分補給をおこなっていない、あるいは意識さえしていないスポーツジュニア選手をときどき見かけます。熱中症を防ぐためにも、実力を発揮するためにも、運動前から適切な水分補給をすることが大切です。摂取の目安は、運動の20~40分前に、水(ミネラルウォーター)や麦茶、スポーツドリンクなどを250~500mlです。その日の気温や湿度、選手の体格や体調によって適宜飲む量をコントロールするとよいでしょう。
ただ、注意したいのが、運動開始直前の多量な高糖質摂取です。国内外の研究では、運動開始前に糖質(ブドウ糖)を大量に摂ったところ、運動開始直後から急激な血糖値の低下がみられた(「インシュリン・ショック」ともいわれる)ことが報告されています。運動開始直後の「インシュリン・ショック」を招かないためにも、運動直前の多量の高糖質(ブドウ糖など吸収の速い糖質)摂取は気をつけましょう。

【運動中】
運動中は、喉の渇きに応じた水分補給を行い、運動後の体重減少が2%を超えないようにします。チームでジャグタンクを用意したり、各自マイボトルを準備するなど、自由に飲水ができるような環境を事前に整えておくことが大切です。
運動継続時間が短い、発汗量が少ない時には水分の補給を第一に考え、ミネラルウォーターや麦茶などでもよいでしょう。一方、気温や湿度が高い、発汗量が多い、運動の継続時間が1時間を超えるような場合には、汗にもミネラル類が含まれている為、0.1~0.2%の塩分を含んだ飲料を用いるようにしましょう。水分・塩分と共に、エネルギーの補給も考慮する場合には、4~8%の糖質を含んだ飲料(スポーツドリンクなど)を活用するとよいでしょう。
飲料の温度は5~15度に冷やしたものがおススメです。最近では、氷よりも流動性があり、水よりも冷却効果の高い「アイススラリー」を運動前やハーフタイムに摂取して深部体温を下げ、熱中症対策に役立ててるアスリートをみかけます。気温などの環境要因、運動強度や持続時間、さらには飲み易さや選手本人の嗜好性なども考慮しながら運動中の飲料を用意し、喉の渇きに応じて摂取するとよいでしょう。

【運動後】
運動後も水分補給が欠かせません。発汗によって失われた水分の補給という観点では、ミネラルウォーターや麦茶でも構いませんが、運動で消耗したエネルギーを補充するリカバリーの視点では、スポーツドリンクや果汁100%のオレンジジュース、牛乳やヨーグルトドリンク、おすすめレシピで紹介している「アマニチャイ」や「スムージー」などを用いるとよいでしょう。ただ、糖濃度の高いジュース類(清涼飲料水)を摂り過ぎると、血糖値が急上昇して、その後の食事がたべられなくなってしまう為、飲む量に注意しましょう。

スポーツによる熱中症死亡事故は無知と無理によって健康な人に生じるものであり、適切な予防措置さえ講ずれば防げるもの1)とされています。運動実施前には、表1の「熱中症予防運動指針」をはじめ、選手本人の体調もしっかりと確認したうえで運動するかを見極めましょう。そして運動する際には、タイミングや環境等に応じて適切な水分補給をおこない、熱中症と無縁のジュニア選手が増えることを期待しています。

表1

熱中症予防運動指針
WBGT℃
31
28
25
21
湿球温度℃
27
24
21
18
乾球温度℃
35
31
28
24
運動は
原則中止
特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。
厳重警戒
(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分を補給する。暑さに弱い人※は運動を軽減または中止。
警 戒
(積極的に休憩)
熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
注 意
(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
ほぼ安全
(適宜水分補給)
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

1)環境条件の評価にはWBGT(暑さ指数とも言われる)の使用が望ましい。
2)乾球温度(気温)を用いる場合には、湿度に注意する。湿度が高ければ、1ランク厳しい環境条件の運動指針を適用する。
3)熱中症の発症のリスクは個人差が大きく、運動強度も大きく関係する。運動指針は平均的な目安であり、スポーツ現場では個人差や競技特性に配慮する。
※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など。

日本スポーツ協会:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブックより

参考文献:
1) 日本スポーツ協会:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(2019)

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執筆

(株)しょくスポーツ 代表取締役

こばたてるみ

公認スポーツ栄養士、管理栄養士、健康運動指導士

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