古代ローマ
「プリニウスの博物誌」
ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(22/23年~79年)は 古代ローマの博物学者であり、政治家、軍人でもありました。 現存する著作「博物誌」に亜麻仁について下記の記述があります。 2000年ほど前のもの、現代の治療法と異なる場合もありますので、 参考に読んで楽しむ程度にとどめておいてください。
第20卷92 〜 アマニの種子から30種 〜
アマの種子は他の成分と混ぜて用いられるばかりでなく、それだけで婦人の顔のしみを除くし、その汁は視力を強くする。乳香および水か没薬およびブドウ酒と混ぜたものは眼の涙漏を癒し、ハチ蜜か脂肪か鑞と混ぜたものは耳下腺の腫れを、つきムギのように水に振り入れたものは胃の出血を、そして水と油で煮てアニスを加えたものを外用すると扁桃腺炎を癒す。それをあぶったものは下痢を抑える。腹の病気および赤痢には酢に入れて貼る。肝臓の痛みにはそれを乾ブドウといっしょに食べる。
肺病にはその種子でひじょうに効果のある練薬がつくられる。アマの種子の荒粉をソーダか塩か灰と混ぜたものは筋肉、腱、関節、えり首の、そしてまた脳膜のしこりを柔らげる。またイチジクと混ぜたものは耳下腺の腫れをうませる。さらに野生キュウリの根と混ぜたものは筋肉に刺さったもの、折れた骨の片なども抜き出す。ブドウ酒と煮たものは腫物が広がるのを防ぎ、ハチ蜜と混ぜたものは痰の出を抑える。
同量のコショウソウ(※1)を加えたものはざらざら爪を、樹脂および没薬を加えたものは睾丸の病気とヘルニアを、水に入れたものは壊疽を癒す。胃痛は1セクスタリウス(※2)のアマ種子の煎じ汁と等量のコロハ(※3)をハチ蜜水に入れたもので、腸と下腹の危険な病気はアマの種子を油またはハチ蜜に入れたもので灌腸すると治る。
- ※1:別名ガーデンクレス。こしょうのような辛みがあり卵と混ぜてサンドウッチにしたりサラダに混ぜるなどして、食用、装飾用としても使われています。
- ※2:古代ローマの乾量・液量単位。液量の場合、1セクスタリウス=530立方cm。
- ※3:別名フェヌグリーク。カレーに使われるスパイスの一種です。